ヨーロッパ通信・第三十四号

2009/05/12 ヨーロッパ特派員だより by Saeki Mihoko

?パリの街角レポート?
本当のコスメ好きに捧ぐショップが6区に誕生!

パリのサン・ジェルマン・デ・プレからセーヌ川にかけては、おしゃれなアートギャラリーが立ち並び、パリの6区でもとりわけBOBO(※1)が多く集まる地域だ。
泣く子も黙る”あの”パレットカフェのテラスでは、葉巻にパナマ帽、麻のパンツできめた初老の男性が新聞を片手にカフェを飲み、肌をテラコッタに焼いた美しいマダム達がショッピングの合間の脚を休め、レイバンのサングラスがよく似合う近所のショップ店員達がおしゃべりに夢中…。

34-5パリでも最もパリらしい、そんな場所に話題のコスメのセレクトショップ「Aepure(アエピュー)」は誕生しました。ショップのコンセプトは、オリジナル&ユニーク(唯一)。もちろんロレアルなどの大手メーカーの商品は一切なし。
メイド・イン・フランスからメイド・イン・パキスタンまで、ありとあらゆる国々の希少価値の高い商品を取り扱っています。

34-22全ての商品に共通しているのは、高いクオリティーとルックス、パッケージの美しさにあります。また、それらの商品のバリューを引き立たせているショップのインテリアも同時に話題になっています。

 

 

 

 

34-4オープンから間もないにもかかわらず、美容専門誌を始めとする様々なメディアが取り上げ、すでにコスメ好きのパリジャンのマストショップとなっているようです。

 

 

 

 

 

 

私は、オープンから数日経った、良く晴れたある午後にショップを訪れました。

34-6先出のパレットカフェから目と鼻の先、マザラン通りとゲネゴー通りがぶつかる見晴らしの良い角という最高の立地にあり、オフホワイトとグレーのシックな外観が目を引く。

美しいウィンドーにしばしうっとりしていると、中から男性が「どうぞ中へ」と、ドアを開けてくれた。
仕立ての良いジャケットからエルメスのネッカチーフがさりげなくのぞく。
美しいフランス語を話し、いかにも貴族出身という出で立ちの男性が、ショップのコンセプターかつディレクターでもある、フランソワ・ド・グロソーブル氏その人でした。

 

34-1ふんわりとした光に導かれるようにショップに入る。

まずは、白い空間に圧倒される。
天井まで続く本棚にはお行後良く陳列されたスキンケア商品が目に入る。
ここは、”Room cocon”(ココンルーム)、と呼ばれ、100m2の敷地を3つに区切ったコーナーのうち一番大きなスペース。

 

 

 

34-9取り揃うスキンケアはオーガニックものからハイテクものまで20種類近くのブランド。

例えば、イギリスの「this works」やイタリアの「Bakel」、赤ちゃんや妊娠中の未来のママのためのスキンケア「Erbaviva」など。

 

 

 

34-21

ニューヨークのハイクラスに大人気の、オーガニック洗剤をはじめ、リネン類ケア商品の「The Laundress」はパッケージがとびきりお洒落で、思わず飾りたくなるほど。

 

 

 

 

注目は”Exclusivite(独占)”のポストイットが貼られたスウェーデンの「Sjal」でしょうか。

34-2「Sjal」は母(カレン)と娘(クリスタン)によって設立されたスキンケアブランドです。
淡いオフカラーのパッケージが高級感と清潔感をかもし出しています。

ブランドのコンセプトである「ナチュラル、シンプル、効果的」を実践するために、化学者、生物学者、ハーブ専門家、栄養管理師に加えてスピリチュアリストにまで意見を求めたそうです。
ヨーロッパの高度なバイオサイエンスにアユールベーダや中国の薬草などのオリエンタル(東洋)な要素を吹き込めた。これから世界中に知れ渡るであろうブランド、路面店では、パリでは現在のところAepureが独占の取り扱いとなっています。
階段を数段上がると、2つ目のコーナー”Room seduction(誘惑の部屋)”パルファン(香水)へとつながります。
世界中から22のブランドが集められていますが、まず目の前に神々しく現れるのが、現代の貴公子こと、キリアン・ヘネシーによる高級パルファンの「By Kilian」です。
ヘネシーと聞いて、すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、そう、キリアンは、あのコニャックのヘネシー(※2)創設者のお孫さんです。
長身にモデルなみのルックスのキリアンは、パリの社交界でも「黄金の青年」と呼ばれ寵愛をうけているようです。
パリ大学で「香りと人間のつながり」についての論文を執筆後、名だたる調香師の元で調香を学びました。

34-7ディオールなどのビックネームで働いた後、ブラックパッケージが美しく記憶に残る「By Kilian」を立ち上げました。
男性による、男性のためのパルファン。

肝心の香りは、気品高く、また主張が強い…、”哲学”がなければ香り負けしてしまうかもしれない、そんな香りなのです。

 

 


フランソワ・ド・グロソーブル氏がプッシュするもう一つのパルファンブランドが、イギリスの「Miller Harris」です。

34-12日本にもすでに熱狂的なファンがいることでも知られていますが、あえてご紹介したいと思います。

カリスマパフューマーのリン・ハリス。
イギリス人としては珍しく、パリの名門校「Cinquieme Sens」で調香を学び、設立が1850年という老舗中の老舗、南仏はグラースにある香水製造研究所の「Robertet」で14年の経験を積みました。
90年代にロンドンに戻り、オーダーメイドの高級パルファンのパイオニアとして活躍後、2000年念願の独自ブランド「Miller Harris」をスタートしました。
伝統的な調香方法を守りながらも、香水にするには珍しい材料を大胆に使用し、リン・ハリスらしさ、”creativite(クリエイティビティー)”と”delicatesse(デリカシー)”を主張する宝物のような彼女の香水は、世界中でも屈指の洗練された香水となっています。
毎シーズン、新しい香水を発表することが目標とのことですが、毎朝お洋服を選ぶのと同じように、気分に合わせて香りを選んで欲しい、とはご自身の言葉。
フランスでは一つの気に入った香水を、アイディンティティーのように生涯使い続ける風習があることから、リン・ハリスの香水は新風を吹き込む事は間違いないでしょう。

最後となる、3つ目のコーナーは”Room for men”。その名の通り、男性の為のスペースです。

34-11フランソワ・ド・グロソーブル氏は胸を張って言います。
“フランスでは、スキンケアは女性のものという”区切り”はありません。もしかしたら興味があるのは女性より男性かもしれませんね”。

そんな男性達をうならせる商品とは、「Sharps」、「The Art of Shaving」、「Task essential」、「Recipe for Men」、「Baxter of California」、「Skintech」などです。

地下のVIPルームと呼ばれる場所には、現在建築中である、男性のためのエステルームが完成するとのことで、またもパリ中のコスメ好きの男性やメディアを沸かす事でしょう。
また、男性同士ブランチをいただきながら、コスメ談義に花を咲かす、そんな時間も設けたいとグロソーブル氏は語ります。不況が騒がれるこのご時世に、高級コスメショップである「Aepure」は、すでにパリだけで近年6店舗の展開が予定されています。そんな「Aepure」を率いるグロソーブル氏は今年で40歳。

34-17お父様は工業で財を成した方で、お母様はヴァイオリニストだったそうです。
ご自身、有名高級化粧品メーカーの香水部門のディレクターとして、15年間世界中を旅行されたそうです。
お店に並ぶ商品はそんな旅の途中で出会った、大量生産でなく、希少価値の高い、どんなショップでも見かけないようなそんな宝物のようなコスメ達を是非、自分のショップで展開したい。
そんな思いを常々胸にしていた。
前職を辞職し、本格的にスタートしたのは2年前。
1800社にも上る世界中のブランドをリサーチし、それらのブランドの400品にもなる商品を試し吟味した。最終的に120の商品が手元に残り、実際ショップに並んだのはその半分にも満たない52種類。”この業界は大変クリエイティブです。次から次へと新しい商品が誕生します。私のショップは、そんな商品をより早く試し、本当に良いと思ったものを皆さんに提供したいのです”。「Aepure」のミューズであるグロソーブル氏にスポットをあてる必要があると思ったのは、やはり彼のカリスマ性がこれだけのブランドを集結させたのですから。「Aepure=aerien(空気のような)+pure(ピュア)」、ショップで軽やかに接客をする彼を見てふとショップ名の由来を知ったような気がしました。

※1ブルジョワ・ボヘミアンの頭文字をとっているのだが、エルメスのカバンに穴の開いたリーバイスのジーンズがよく似合う、そうジェーン・バーキンのようなタイプの人々をさす。

※2 現在はルイ・ヴィトンなどフランスを誇る多数のブランドを有するLVMHグループの傘下となっています。

Aepure
アドレス:35, rue Guenegaud 75006 Paris France
電話:01 40 51 72 54
サイト:www.aepure.fr(製作中)


*佐伯美帆子さんのプロフィール*

10代でパリに移住。日本に帰国後は広告代理店などに勤務するかたわら、翻訳やライター活動を行う。フリー転向を機に再度パリに居を移す。現在は雑誌等のコーディネーションやリサーチ、ライター活動を主に行うが、パリ大学(社会学部)への復学を目指して勉強中の身でもある。趣味はパリ中の美味しいバケットを食すことと人間ウォッチング。


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