ヨーロッパ通信・第三十三号

2009/03/16 ヨーロッパ特派員だより by Saeki Mihoko

フランスの飲み物特集パート1

~フランス人との身体をつくるお水と炭酸美容~

 

47毎年3月の最終日曜日はサマータイムへの切り替えのため、1時間睡眠が短くなります。

48日本との時差が8時間から7時間に変更する日でもあるわけですが、ともかくただでさえ眠い春先、1時間の短縮は結構辛く、調整に1週間はかかってしまいます。
しかし、いったん体が慣れてしまうとあとは天国。

毎年サマータイムをかわきりに、なぜか素晴らしいお天気が続くのですから不思議です。
しかも、夜の21時過ぎまで明るいとくれば、冬の装いを脱ぎ捨てたパリジャン達が、我も我もと外へと繰り出し、お散歩、お花見(桜がとってもキレイ!)、ピクニックなどを楽しむわけです。

 

この時期の私の楽しみといえばテラスでのビールタイムです。

甘党な私はビールをグレナディン(ざくろ)シロップとソーダで割った”モナコ”(モナコ公国の国旗の色が赤いから?)という飲み物を注文し、気分をリフレッシュさせる瞬間は、長くて暗い冬の間、夢にも出てくるくらい待ち遠しいものです。49

日本ではあまりなじみのない飲み物だと思いますが、非常に癖になるその後味を、来仏の際にはテラスで太陽を浴びながら是非ご堪能ください…。

 

 

 

 

 

さて、桜が散るともうすぐ初夏となり、水分補給がより大切になる季節となります。

今号は健康な体をつくる基本、お水について報告します。

まずは生活の基盤となる、お水でも水道水のお話です。

お水と人間の関わりと言えば、よく、体の70~75%は水分からできていると言われます。
脳となるとその数値は、90%にもなるそうです。
すなわち体内で水分が不足すると、血液の粘度が高くなり、脳梗塞や心筋梗塞など、様々な病気を引き起こす原因となるのです。

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そのため、人間の生命を維持するために、一日、食事に含まれる水分を含めて約2~2.5リットルの水分摂取が必要と言われています。
夏やお風呂上りなどで汗をかく場合は、さらにその分を補う必要があるわけです。
また、のどが渇いてから飲む、特にがぶ飲みは意味がなく、少しずつ丁寧に補給し、体に浸透させることが大切なのです。

 

 

 

 

ダイエットには一日2リットルの水を小分けにして飲むと良い、と言われていますが、それは、ただ単に体内器官の活動に水が必要なのである以外に、飲んだ水に体温を近づけようと体がエネルギーを消費するからだそうです。
そのため、水分補給を欠かさない人は努力せずとも、ダイエット体質となるわけです。

日本はレベルの高い浄水処理システムのため、水道水でも問題なく飲むことができると思います。
しかし、フランスでは以前に比べて大分美味しくなりましたが、それでもパリなど大都市では、未だにツンとした独特のにおいと、カルキ(塩素化石灰)の味がして、決して美味しいとは言えず、進んで口にしたいと思えません。
いわゆる硬水で、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを含むので、軟水に慣れている日本人の私にはどうしても慣れない味なのです。

しかし、パリの水道水を管理するオー・ド・パリ社(Eau de Paris=パリの水)によると、パリの水道水の質は市販のペットボトル水に劣らず、パリ市民の半分は水道水を飲用している、とのことです。
源泉はセーヌ川、マルヌ川などから運ばれ、パリ近郊の浄水場で処理されています。

しかし、パリのお水はそのカルキが困り者として知られています。
購入したての白いTシャツは1回洗濯しただけで薄いグレーに…。
5回でも洗えば完全にグレーになってしまいます。
シャンプー後の髪の毛はトリートメントしてもゴワゴワ。
肌も白い粉をふき、乾燥する冬場はひび割れもできるほど。自然乾燥したグラスには白い線がくっきり。
やかんには1週間もしないうちに白い小さな石が蓄積します。
これらが体内に蓄積されると考えるだけで怖いですよね。

そのため、生活にはあらゆる工夫が必要になります。

洗濯機には市販のアンチカルキのカルゴンを必ず使用。
カルキを分解しやわらかい仕上がりになり、また、カルキのこびりつきも防いでくれます。
石鹸や、シャンプー、洗顔フォームなどは必ずフランスのものを使用します。
なぜなら、これらの商品にはカルキ分解の要素がすでに入っているためです。
それから、アイロンには水道水は使えず、ミネラルを除去した市販の精製水、または洗濯機にたまった水はミネラルが除去されているのでそれを使用します。

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口にする全ての水をペットボトルウォーターにしたいところですが、自宅まで重たいパックを運ぶのは大変です。と言いつつも、対外のフランス人は6本がワンセットになったケース買い。
郊外のハイパーマーケットでは一度に数ケースをまとめ買いしている人も少なくありません。
安いとはいえ、私の場合、お茶やコーヒーにも使用した場合には1ヶ月で総計およそ20ユーロ近くを費やしています。

 

 

 

そこで、フランス生活で欠かせない物をご紹介。

一家に一個は必ずある、家庭用洗浄器のブリタです。

52私もフランスに到着した当日、時差ぼけで眠い目をこすりながら近所のスーパーにブリタを買いに走った記憶があります。
中のカートリッチは1本7ユーロほどで、2ヶ月以上もつので経済的です。
肝心の味はもちろん市販のボルヴィックなどとは比べ物になりませんが、水道水を入れるだけの手軽さで、お茶やコーヒーの色が断然鮮やかになり、料理においても味が全く異なるので、もう手放せません。

私が日常的に愛飲しているブランドをいくつかご紹介します。

■Volvic (ボルヴィック)
日本でもおなじみのボルヴィックです。フランスのミネラルウォーターの中でも最もミネラル成分含有量が少ない水の一つで、純水に近く飲みやすい。お茶やコーヒーをいれるのに最適で、お茶の味を引き立てます。

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■Evian(エヴィアン)
フランスでミネラルウォーターといえばエヴィアン、というくらい代表的な存在です。わずかにミネラルを含むため、ボルヴィックと比べ、お茶を入れると多少変化がでます。しかし、フランスでは赤ちゃんのミルクを作るのに勧められていて、赤ちゃんが飲み易いように作られた専用ボトルも発売されているくらいです。

 

 

 

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Hepar(エパー)
Vittel(ヴィッテル)を水源にするミネラルウォーターだが、ヴィッテルに比べより硬度分が多く、非常に特徴的な味です。ヴィッテルより、カルシウムが2倍、硫化物イオンが8倍も多く含まれています。味がきついことで知られるContrex(コントレックス)を上回る味です。それもこれも全ては含まれる豊富なマグネシウムにあり、ダイエッターには欠かせない水となっています。

 

 

 

フランスではかなり昔から日常的に飲まれ、最近は日本でも続々と発売され、現在非常に注目を集めているその飲み物とは…。

それが、胃にもたれることの多いフランスでのお食事のお供として欠かせない、炭酸水です。
レストランなどでも、ワインとお供にオーダーされるのは、水ではなく炭酸水です。
シュワっとした飲み心地が口元をすっきりさせるだけでなく、美容や健康にも効果があるとなれば、とことん”美味しい”飲み物ですよね。

代表的な効果とは、例えば、食前に一杯飲むことで炭酸成分が胃や腸の粘膜を適度に刺激し、胃腸の動きを促進することや満腹感も得ることが出来るので、食べすぎが気になる方にも適した健康法と言えるでしょう。
また、消化を助け、翌日の胃のもたれを防いでくれます。
胃酸の過剰な分泌による胃の荒れや胸焼け、不快感などを抑える効果もあります。

ヨーロッパ、特に源泉を多く保有するフランスでは、炭酸水を日常的に健康や美容に多く取り入れてきました。
例えば、炭酸泉と呼ばれる温泉は、疲労回復などをはじめ美容や健康に効果があるのは周知のことですが、日常的に現地に赴くことはできません。
そこで、源泉で汲み上げられた天然微炭酸のナチュラルミネラルウォーターをお風呂のお湯に足し自家製温泉を楽しみます。
特に慢性的な腰痛などを持つ人の間では日常的のようです。
これは、お風呂に炭酸水を入れると炭酸泉と同じような効果が期待できるからです。
炭酸ガスが皮膚から毛細血管に吸収されると、酸素欠乏と勘違いした身体がより多くの酸素を取り入れようと毛細血管を広げ血行を促進させます。
これによって血管のすみずみまで水分や酸素、栄養などがゆきわたり、肌が本来持っている機能を回復させることができるのです。
また、体が温まり湯冷めにくくもなります。
温浴法としては、温度38~40度のぬるめのお湯に10分~15分のみ。
体の心からポカポカとしてきます。

また、炭酸水でお化粧を洗い流すフランス人も少なくありません。
ご存知のようにフランスの水道水は硬水で沢山のカルキを含むため、日本のように、水で洗い流すような化粧落としは存在しないといっても過言ではありません。
たいがいの化粧落としはクリームやジェル状で、コットンにとり、それで顔をごしごしとこするわけです。
しかし、こういった拭き落とし系のクレンジングでは、毛穴の奥の奥まで汚れを落とせてない感覚がどうしてもしてしまうのは、私だけではないはずです。
温泉地で有名なヴィシーにある美容施設では、普段から炭酸泉で洗顔や化粧落としをしています。
これが口コミで広まり、ヴィシー産の微炭酸水で化粧を洗い流したり、洗顔に利用するフランス人が増えて来ているようです。(注意:敏感肌の方はまず腕などで試してからのほうが安全でしょう。)
これの応用として、炭酸水パックも大変人気です。
炭酸水を大きめのコットンに浸し、それを4枚に剥ぎ、おでこ、両頬、あごに貼付け、10分そのまま放置し、洗い流すことなく通常の保湿ケアを行います。
これで、顔のむくみや老廃物、余分な水分を排出し、肌にハリが出て、たるみやしわが解消されると言われています。
それから番外編ですが、プールの塩素臭を炭酸水で取り除くという、フランス的おばあちゃんの知恵です。
プールで泳いだ後、シャワーをしても髪の毛や肌に残るあの塩素のあのにおいは不快ですよね。

実はこのにおいにも炭酸水が効くと言われています。
シャワーの最後に炭酸水で全身をリンスすると、不思議とにおいが取れるのです。
これは、自分自身はまだ試していませんので、実際の効果のほどは分からないですが、以前、自宅近くの市営プール(衛生上のためが、私営のプールより塩素を強く入れる傾向があるようです)で、髪の毛を炭酸水で洗っている女性達を何度か見かけたことがあります。
夜中の2時に終わるディナーにも持ちこたえる体力にしろ、脂っこい食事が多いフランスで、なぜかスリムな人が多いのは、炭酸水を日常から愛飲しているからだと、私は確信しているのです。

私が日常的に愛飲しているブランドをいくつかご紹介します。

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■ぺリエ(Perrier)
緑のボトルがとってもおしゃれで、カフェなどではカットレモンとともにサーブされますが、夏の風物詩です。人工的と思えるほど発砲がよく、料理のお供としては強すぎるかもしれません。むしろのどの渇きを癒す爽快感は最高ですし、また、カクテルなどに適しています。またぺリエにはブルーボトルもあって、こちらは弱炭酸。お食事のお供として大変人気があります。

 

 

56■バドワ(Badoit)

ミネラルバランスが良く、非常に飲み易い炭酸水です。緑のパッケージは、ほとんどのカフェやレストランで飲まれていて、一般にも一番飲まれているかもしれません。実は、バドワ赤パッーケージがあって、緑より炭酸がきつめになっています。私は気分によって、緑と赤を飲み分けています。

 

コントレックス(Contrex)
フランスのミネラルウオーターの中でもっとも硬水であるコントレクッス。ミネラル成分はそのままで炭酸入りなのです。ですから、通常のコントレックスが飲みにくいという方には、炭酸入りの方が味が和らぐかもしれません。とにかく、コントレックスはダイエットをする女性向けという位置づけですが、フランスでも相変わらずの人気ぶりです。

Vichy Celestins(ヴィシー・クレスタン)
とにかくナトリウムをたくさん含むので塩味がします。そのため、飲用するにはかなりの気合が必要なほど味は強いです。しかし、ちょっと疲れたときや、スポーツをして汗で塩分が流れた後などに飲むとすぐに元気が戻る気がします。通常、お腹を痛めないために(他にも理由はあると思いますが…)、水は常温で飲むことが大切ですが、このお水だけは冷やしていただきます。

Hydroxydase(ヒドロキシダーゼ)
体の酸化を防止してくれそうな名前の炭酸水です。そうです、体内の酸化還元反応を活発にする効果があるそうです。温泉治療で有名なVichy(ヴィシー)と同じオーヴェルニュが産地です。温泉水飲療法として販売されているので、スーパーマーケットなどでは手軽に手に入らず、薬局などで購入します。効能は、解毒作用として、利尿、代謝を活発にして体内の毒を外に排出する働き。コレステロールや食べ過ぎによる過剰な栄養分を排出してくれるなど、”良薬口に苦し” とはこの炭酸水のことを指しているとしか言えません。私は食べすぎが続く、クリスマスやお正月時期の朝起き明けに”お薬”として飲むようにしています。

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Chateldon(シャトルドン)
泣く子も黙る世紀の炭酸水です。ルイ14世への献上水として知られ、主治医の指示によりはるばるオーヴェルニュ地方から運ばれてきたとされている。また水源が限られているため、希少価値が非常に高いのだとか。口当たりが極上のシャンパンに比すると言われていますが、炭酸が非常に細かく、口当たりが良い。もちろん少々値が張るので、パリは6区のボン・マルシェなどの高級デパートで購入できます。私は、ボトルがおしゃれなので、とっておきのディナーなどに活用しています。

 


*佐伯美帆子さんのプロフィール*

10代でパリに移住。日本に帰国後は広告代理店などに勤務するかたわら、翻訳やライター活動を行う。フリー転向を機に再度パリに居を移す。現在は雑誌等のコーディネーションやリサーチ、ライター活動を主に行うが、パリ大学(社会学部)への復学を目指して勉強中の身でもある。趣味はパリ中の美味しいバケットを食すことと人間ウォッチング。


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