ヨーロッパ通信・第三十号
2008/12/16 ヨーロッパ特派員だより by starlab
?イギリスでお茶を?
Beauty friendlyなティータイムの過ごし方
イギリス人は実によく紅茶を飲む。
スターバックスを筆頭に、街中にコーヒーチェーン店が瞬きする度増えて行くこの時代。
特に若者の間ではロゴ入りのコーヒーカップがまるでファッションアイテムになったかのようでもあるけれど、彼らも家に帰ればやはり手に取るであろう物はマグになみなみと注がれた紅茶。
日本人にとってお茶が切っても切れない存在であるように、イギリス人にとっても紅茶は必需品。
ただ、日本の湯のみが小ぶりであるのに対しこちらはマグが主流。
フランス人がイギリスに来て、cafe(エスプレッソ)を頼みアメリカンコーヒーの量の多さに驚くのと同じくらいの感覚でしょうか。
イギリスの紅茶文化が今でも世界を魅了する中、「お家元」イギリスの一般家庭でティーカップが登場するのはちょっとした来客がある時くらいなのでは。
こちらではティーバッグが主流であるのも事実。
なので、私のイギリスの紅茶に対するイメージは「ティーポットにティーカップ、手作りのケーキで優雅にお茶」というよりも、「ティーバッグを使用したマグ入り。
お供は「スーパーで調達したクッキー」という、あまりグラマラスではないもの。
かつて休日にホームステイ先の家族に連れられて、彼らの親戚、友人など3件続けて訪れた時の事。
訪問先で必ず聞かれるのが「Would you like a cup of tea?」なのです。
もちろん断るわけにもいかず、毎回マグにたっぷりと入った紅茶を頂く事に。
最後はその大入りで売られているティーバッグ独特の味に辟易しながらも、16才だった私は紅茶をひたすら飲みきる事に専念したのでした。
今でこそ自分で銘柄を選べ、その種類の多さには驚かされます。
社会のヘルシー志向も商品に大きく影響しているのもここ数年で感じさせられるところ。
「デトックス用」「オーガニック」など、10年前のイギリスのスーパーでは見つけられなかっただろうし、最近の「紅茶店再開発」は目を見張るものがあります。
今月は「ロンドンのお茶事情」をお届けします。
「かわいい!」と入った瞬間から気にいったのはロンドン南部にある「Chandelier」(図1)。
センターから少し離れているのが難点ですが、訪れる価値はあり!のカフェ。
店名通り、沢山のシャンデリアが目を弾きます。
ソファに身体を沈めると、時間もゆったり流れていきます。
ここではチェリー入りのチョコケーキと、長いリストの中からバラのホワイトティーをセレクト。
運ばれてきたカップにはバラの蕾が。
雰囲気といい、演出といい、女の子心をくすぐるお店です。
正統派のティータイムを楽しみたいのなら、 Victoria & Albert museum へ。
美術館併設のカフェとしては世界最古の伝統を持ち、3つのテーマに別れたサロンを気分で選ぶのもお勧め。
ウィリアムモリスが公共の作品として初めて内装を手掛けた部屋、Green Roomなど、まさに空間そのものがアート!

J.Gamble によるGamble Room(図2)は息を飲む美しさで毎回足を止め見とれてしまう程。
ちなみに同美術館には小さいながらも紅茶の歴史とティーポットを展示するコーナーが(図3)。
17世紀中旬に中国から輸入されてからイギリスのお茶文化は始まりますが、18世紀終わりまで高い税金がかけられたため、高級なものでした。
また、中国陶器のティーボウルは熱を通しやすく、取っ手部分の改良もされていなかった事が上品で洗練された作法を作り上げたと言われています。
また、お茶は家族が優雅な時間を共有するという「社交」の時間でした。
輸入当時は中国式に倣い、ミルクは入れなかったなど、観賞後にはちょっとした紅茶のうんちくが語れるようになる事請け合い?!
英国の紅茶の歴史を語る上で外せないのは18世紀創業のデパートFortnam&Maison。
併設のアイスパーラーはカジュアルな雰囲気なので気負わず利用できます(図4)。
残念ながら、紅茶とケーキは特筆するようなものではなかったのですが、友人の注文したパフェには脱帽(図5)。
モッツアレラチーズにトマト、パジルソースのサラダにグリッシーニがささった、パフェを模したサラダ。
見栄えからして、こちらを頼めばよかったと後悔したのは言うまでもなく…。
「文化のるつぼ」と称されるロンドンらしく、カフェも多種多様。
水タバコが置かれた中東カフェも多く、すっかりロンドンの街並になじんでいます。
地元にあるハンガリー系喫茶「Louis 」(図6)はロンドンにて2店舗展開中。
創業は60年代と古くはないものの、どちらの店舗もかなり味のある雰囲気。
EU拡大の結果、ここ数年で随分と増えた在英ポーランド人。
この喫茶店でもスタッフの多くはポーランド出身の様。
クレープのデザートは東欧でも主流ですが、ここのアイスのせアップルシナモンパンケーキを目当てに時々足を運びます。
控えめな価格設定なのもうれしいところ。
あまり愛想のない接客や、居心地がいいとは決して言えない椅子などもかえってこの店のチャームポイントになってしまっているから不思議。
やはりイギリスといったらアフタヌーンティ。
フランスの巨匠、ピエールガルニエールに

よって演出された「スケッチ」はモダンアフタヌーンティの典型的存在(図7)。
ユニークな卵型トイレは13号にてご紹介済み。

ここのアフタヌーンティはスコーン&ティで£9.5、ケーキとサンドイッチ付きで£19.50とお手頃価格(図8)。
在英日本人の間でもおいしいと評判のフランス仕込みのケーキがいくつも試せるのでお得感もあり。
一風変わったお店だけあり、プレートやティーカップ、ソーサーもわざとミスマッチ。
ケーキは2人で全種1つずつだったので、カットが難しいものには手惑いましたがスコーンを含めても量はちょうど良いくらい。
紅茶のお代わりはポット毎の変更が可能なのですが、ここのチャイはおすすめです。
おいしくて、最初からこれを頼めばよかったと思ったくらいです。
ニットを編み続けるグループあり、マックのパソコンを手に語り合うグループあり、アーティな人々が、店の雰囲気をつくりあげている場所でもあります。
時間にゆとりがあるのなら、イギリスらしい場所で正統派アフタヌーンティを楽しみたいところ。
コッツウォルズを訪れた際に寄ったB&B「King John’s Hunting Lodge」はまさにティー巡礼をする上での聖地といったところ(図9)。
13世紀まで遡るという歴史ある石造りのゲストハウスで、12世紀、King Johnが狩猟のため頻繁に訪れた事が名前の由来だそう。
ゲートをくぐれば、陶器の大きなティーポットがお出迎え。
気候の良い時期は庭で緑を楽しみつつお茶ができます。
暖炉のある店内には手作りのケーキが並べられ、その雰囲気だけにでも浸ってしまいそう(図10)。
プレーンと胚芽2種のスコーンを自家製のジャム、クロテッドクリームと共にいただけます(図11)。
ジャムはその後購入したほど美味でした。
「ティー」は食の楽しみだけでなく、「見て楽しむ」アイテムとして、暮らし,
特にインテリアに取り入れられつつある様子。
Canarby Streetから程近い「Beyond the Valley 」ではかわいらしいティーセットを発見(図12)。
部屋をかわいく飾ってくれそうな品々が並びます。
アンティークスプーンをそのまま縫い付けた革のポーチなど、斬新な商品を置くお店も並びに見かけました。
最近訪れたパリでも「ティーアイテム」はキーワードのようで、お洒落なお店が集まるマレ地区のインテリアショップでも欲しくなる商品が所狭しと並んでいました(図13)。

お茶は、ビューティ業界でもいまや水と並んで注目されているドリンク。
「肌が荒れるから紅茶を控えなきゃ。」という友人もいますが、それはミルク、砂糖入りで紅茶を摂取しているから。
「シェイプ特集」と銘打たれた11月号のMarieClaireでは緑茶が健康飲料として紹介されていました。
こちらではカフェインを含むから、とダイエット中のお茶を避ける人が多いようですが、当誌によると「カフェインなしの緑茶を食事毎、そして運動の30分前に摂取すると脂肪燃焼が17%アップする」との事。
ポリフェノール、ビタミンCが豊富でお肌にもいい事から「自宅スパ」アイテムにも取り入れられます。
少し古くなったティーバックはガーゼに包みバスタブへ。
この「紅茶風呂」、肌への効果はもちろん、香りのアロマ効果も期待できます。
これからはフレーバー選びの際、飲む時、そしてバスタイムの事も念頭において…?
脱臭にも使われるお茶の殺菌効果は美しい笑顔の強い味方。
砂糖なしの紅茶は白い歯をキープしてくれると歯科医師のお墨付き。
上級煎茶は特にビタミンCが豊富な為、緑茶を噛んで食べるとつわりが軽減するという説も。
緑茶がプレママの携帯アイテムになる日も近いかもしれません。
「『Tea』って言葉は世界共通なんだよ」とキプロス出身の友人に言われた瞬間、身体中を駆け巡った不思議な感覚は今でも覚えています。
「茶」。
世界中で「チャ」又は「テ」として広まっています。
前者は陸路で伝播、または大航海時代以前に海路で伝播された国々。
韓国語で「チャ」、スロバキア語ではチャイ(caj)、ギリシャ語でチャイ(tsai)など。
後者はオランダから「茶」を入手、またはオランダの植民地だった国々。
ハンガリーでは「tea」、ヘブライ語で「te」など。
確かに響きこそ微妙に違うとはいえ、ルーツは全て同じ。
紅茶の歴史は人類の歴史を辿る事でもあり、言葉や思想の違う国々を結ぶ数少ない共通点であると。
地球規模での血なまぐさい紛争や混乱が未だ続く世の中。
友人の一言は世界平和という言葉を連想させ、何気ない言葉の裏の重みに思わず身震いした出来事でした。
国籍、人種、宗教、貧富。全ての壁を越え、世界中の人々がお茶の時間を共有する事が出来る日は決して夢物語ではないはず。
今年のサンタクロースにはこの願い事を託しつつ…。
それでは、みなさん、良いクリスマスをお過ごしください…!!
*相沢かなみさんのプロフィール*
イギリスのThe Surrey Institute of Art and Design ,Fashion promotion& illustrationでファッションプロモーション専攻中の学生。
キラキラ小物、アクセと甘いものが大好き。最近はサルサダンスやホットヨガデビューを密かに計画中☆



