トップトレンド情報化粧品業界の今を斬る〜2009年秋冬の流行色予測〜「フェリシテ(幸福)」

〜2009年秋冬の流行色予測〜「フェリシテ(幸福)」 (2009.08.13)

2009年のインターカラー(国際流行色委員会)※の決定色のテーマは「フェリシテ(幸福)」。
多様が混在する時代を映し出す様な、対比のカラーが選出されています。
それは「リアル」対「バーチャル」、「自然」対「人工」。
そしてそれらのバランスをとる色。
まるで世の中のバランスそのものの様。
テーマを「フェリシテ」としているのは、女性の感情にスポットをあて、混迷の時代に、喜びを見出して強く生きる姿をイメージしたものです。
本年度から年に二回の発行になった、メイクアップカラーパレット。
インターカラーをもとに、今回は春夏のテーマを引き継ぎながら、秋冬のメイクアップカラーパレットを検証。
みえてくる現在の女性像を探ってみたいと思います。

※インターカラー(国際流行色委員会)…世界レベルでトレンドカラーの検討を行っている組織。
加盟国は2008年5月現在、中国、イギリス、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、日本、韓国、ポルトガル、スイス、トルコの12カ国です。
JAFCAメイクアップカラーは、インターカラー情報を参考に選定されています。

春夏のコンセプトに引き続き、テーマは女性の感情表現で、「喜び」対「憂い」、「自然」対「人工」という二つの軸で、4つの感情に基づいたグループが決定されました。


プリンチ・ペッサ Principessa

春夏提案のマカロンカラーで明るく可愛らしいお姫様の雰囲気から、怪しくエロティックなエッセンスをプラス。伝説のピンナップガール「ベティ・ペイジ」をイメージしたカラーグループとなりました。彼女のコケティッシュな魅力をキラキラ乱反射するワイヤーとピンクのホログラムで表現。輝きの違うパールとスパンコールの掛け合わせで質感表現の幅を広げています。


アビスレ abysre

深海に生きる未知の生物をイメージした前回からエコロジーをポイントに、高原や湖の静けさを感じさせるグループへ変化。寒い夜の明け方。朝日が出ると凍った湖面に澄んだ光があたり乱反射する、青く、冷たい静かな世界。深い森。全体的に色相を絞りクール感を演出。冷たく儚く、角度によって鮮やかな虹色に輝くオーロラのようなニュアンス。ブルー〜ブルーグリーンの微妙な色の違いは繊細さを表現。マットなオーロラ紙はわざとくしゃくしゃにして氷の輝きを表現。同色のオーガンジーを重ねた質感で、冬のかすんだ空気を表現。


自然の賜物 The Fruits of the Earth

前回のナチュラル、オーガニックなイメージにボヘミアン調でエスニックな香りを演出。ワイルドで奔放なのに品を感じさせるエキゾチックな女性のイメージ。ニュアンスのある同色系の組み合わせを多用したのは、自然の情景はよく見ると色々な色が交じり合って構成されているから。一色だけでは出せない色の深みやニュアンスを大切にしました。暖色系のカラーレンジをダークグリーンで引き締め、エキゾチックに演出。はちみつの様に澄んだ輝きのイエローにも注目。民族衣装の鮮やかさや台地に根を張って生きる人々の力強さを表現。


香潤

日本の梅雨の中に佇む、しっとり艶やかな女性像から、イタリアの宝石と呼ばれるモニカ・ベルッチの様な女性像へ。女性の豊かで香りたつような美しさを体現し、ゆとりと余裕をたたえ、決して媚びない、強さと自信が独特の美しさに繋がっています。唇はふっくらと量感のあるモール系で表現。吸い付くようなサテンの質感で、しっとりした女性らしさはそのままに、よりリッチに、より豊満に演出。パープル〜ブラウンにより、クラシックで豊かな女性らしさを表現し、濃紺でノーブルな雰囲気をプラス。


どのカラーパレットも、より女性性を強調したイメージに変化しています。
性を強調するということは、自然回帰の一つなのかもしれません。

情報手段の発達により、私たちは「実感する」ということが極端に減ってきています。お墓参りや、参拝だってインターネットでできる時代。
世界情勢が家にいても分かってしまう便利さの反面、コミュニケーションは減り、地域性は徐所に失われ、均質化しています。
そして目にするニュースは、不安を煽るものばかり。
都会に暮らしていると、不安にさらされ、自然さえもバーチャルでしか感じることのできない生活をしている人は多いのでしょう。
そんな今だからこそ、かつては当たり前だった自然と共に生きる生活、地域独特の慣習などに注目が集まり、眩しく目に映るのではないでしょうか。
人間としての実感を、無意識に求めはじめているのかもしれません。
かつては自然の中で、人はたくましく生きていました。
昔からの知恵を使い、身体を使って強く生き抜いてきたのです。
子を産み育てる女性の強さは、人間の強さそのものなのかもしれません。
人は無意識に女性の中に存在する人の「強さ」に憧れを持っているのでしょう。

現代社会を象徴する女性像は「多面体」です。
シチュエーションにより様々な顔を見せ、時には周りから求められる役割も「演じる」ことができ、それを逆に楽しんでしまえるような余裕のある女性。
柔軟であるということは、もしかしたら一番の強さではないでしょうか。
そして芯のぶれない生き方のできる、オンリーワンの女性。
豊かな女性性を持ちながら、媚びない女性の姿が浮かんできます。
浮かび上がった「媚びない色気」というキーワードは、眩しく、とても魅力的です。