原料志向の高まる化粧品 (2009.08.13)

化粧品原料界では、「オーガニック」と「機能性」がトレンドです。

多様化する消費者ニーズに応えて、様々な素材が現れては消える化粧品原料界ですが、
かつてのQ10ブームのように、コレだけ入れれば売れる、というものは、 もはや登場しません。
そんな混沌とした現状で、二つの確かな流れがあります。

そのキーワードが 「オーガニック」と「機能性」です。

海外、特にヨーロッパから日本に進出してくるコスメブランドは、挙ってオー ガニックを標榜しており、LOHAS志向の追い風に乗って、自分にも環境にも心地いい化粧品は、売れ筋ランキングの一大勢力を占めています。
テクスチャや香り など、五感に訴えかける商品が多いのも、特徴と言えるでしょう。

一方で、「ドクターズコスメ」に代表される、比較的高価格帯のアイテムが、 根強い人気を得ています。
高齢化に伴うアンチエイジング需要の高まりも、この人気を後押ししています。
スポット用、マスク状など、確実に効果を届けるための製品や容器の形状が研究されている
のが、このカテゴリの特徴です。
化粧品の裏書をじっと読んで、自分の肌に合う成分を検討するのが、美容知識のある女性の間では当たり前になっています。

消費者が化粧品を選ぶポイントに原料志向が高まっているのです。
そして化粧品原材料は、成分補給、機能促進にとどまらず、高機能化が進んでいます。

最近注目の原料をいくつかご紹介しましょう。


馬の油、化粧品原料として定着。若い女性層に需要拡大。

馬の油の効能は幅広く、火傷、肌荒れ、切り傷など、万能薬として古くから利 用されてきましたが、自然派、天然志向が強まる中、動物性脂肪でありながら、 コレステロール抑制に係る不飽和脂肪酸が63%を占めていることなど、最近では「認知度の高さ」や「天然素材としての安心感」、「体感性の高さ」が 注目され、美容を切り口とした化粧品原料としての認知がすすんできました。
馬の油の持つ特徴としては、浸透性の高さ、抗酸化作用、殺菌作用抗炎症作用、保温・血行促進作用等が挙げられます。
元々、動物性油脂は植物性油脂と比較してヒトの脂肪に近く、中でも馬油の脂肪 酸とヒトの脂肪酸の組成が非常に似ています。

また、不飽和脂肪酸で構成されて おり、その含有が鰊や鰯などの青身魚に比べても60〜65%と高いのが特長です。
不飽和脂肪酸は元々浸透力が強いことから、「馬油は皮膚にしっとりと素早く浸透する」といわれています。

若い女性層を中心に、市場が拡大しており、通販やインターネットの石鹸専門 サイト、自然派ショップ等による売り上げ、特に石鹸が好調です。
また「床ずれがなくなった」、「関節・筋肉が柔らかくなった」、「浸透性が強 く、血行が良くなり疲労回復が速い」など、介護者やリハビリの筋肉マッサージ など業界関係者の利用者も増え、高齢化社会対応の素材としても注目を集めています。
「品質が不安定で、すぐに酸化して腐りやすく、その上臭いがきつい」という短所が、部分水素添加馬油の登場により解消、一気にヘアケア製品・スキンケア製品などへの配合が進んでいます。


「バラ」ブーム到来はもうすぐ!香りだけでない多くの機能。

バラのフレグランスガム『オトコ香る。』が爆発的に売れているそうです。
化粧品の定番素材に加え、サプリメントの人気も上昇中。
バラ素材の需要が健康食品・一般食品・化粧品の各方面で強まっています。
口臭・体臭予防を狙った商品が中心ですが、バラには抗アレルギー・抗炎症・精神安定・美肌・リラクゼーション効果・血行促進といった作用があります。
他にも、抗菌・殺菌、抗炎症、消化器系・肝臓の強壮といった作用も期待されて おり、機能性に関するエビデンスデータが整いつつある今、バラブームの到来が 期待されています

バラ素材は大別すると、ローズオイル、ローズウォーター、花びら(エキス末 含む)があります。
ローズオイルは化粧品・アロマテラピー・サプリメントなどで使われます。
ローズウォーターは化粧水・ドリンク・香り付け・石けんなどに使用されます。 花びらをそのまま使ったローズジャムやローズ茶などが定番商品です。

一般的にローズオイルは、バラの花に水蒸気を吹き込んで蒸留精製する「水蒸気蒸留法」によって得られます。
精製された液体の上層部に浮かんだ油分がローズオイルで、残りがローズウォーター。
ローズオイルを1kgつくるために、3〜4tのバラの花が必要となります。
さらに、品質を保つためには、芳香が蓄積される早朝に手摘み作業が求められるため、品質にこだわったローズオイルは高価格になります。

ローズオイルやローズウォーターは、バラの栽培で有名なブルガリア・イラ ン・モロッコ・トルコなどから輸入されています。最近では中国産も出回り始めていますが、品質面では特にペルシャ産ダマスクローズや、社会主義時代から国家物資として、国を挙げてローズオイル等の品質管理に注力してきた経緯がある ブルガリア産ダマスクローズなどの評価が高いと言われています。

原材料の高機能化が、アンチエイジングブームの中で発展しています。

アンチエイジングによる内外美容の取り組みから「肌を健康的に若返らせる」 効果が、一つのトレンドになりつつある現在。
健食メーカーや製薬会社など異業種も続々と参入し、市場が活性化しています。

アンチエイジング系化粧品の注目の新素材をいくつかご紹介します。


EGF・・・アンチエイジング素材の旗手?

新しい化粧品素材として注目が集まるのがEGF。
「上皮細胞増殖因子」のことで、人間が本来持っている因子です。
アメリカの生物学者スタンレー・コーエン博士により発見され、
火傷治療など皮膚再生分野で使用されていたものですが、
2005年秋に正式に全成分表示「ヒトオリゴペプチド-1」として登録されました。
肌に補給することにより、年齢とともに低下する肌本来の力を助け、皮膚が失っ ていく細胞再生因子を補充し、肌のハリと滑らかさを保つと言われています。


ロングエヴィセル・・・長寿タンパクに着目した原料

昨年10月の発売以来、欧米の高級化粧品に配合されはじめた、『ロングエ ヴィセル』。
ハーブの一種であるキンバイカ由来のこの成分は、体内組織の変性 を制限し、細胞の老化現象を遅延される効果が期待されるといいます。


南仏プロヴァンスの太陽、大地の生産物、そして自然愛というキー ワードが並び、商品は民族に伝わる伝説
や神話をヒントに開発されています。
また、フェアトレードを推進しており、シアバター原料の商品を買うことによって 中央アフリカの女性達を支援することもできるというロハスな精神も、ヒットにつながっているのでしょう。

ヒット商品のアプローチには、ただ単に原材料を前面に打ち出すだけでなく、 こうした背景のストーリーを、消費者に伝わる言葉で描き出すことが大切なのではないでしょうか?

アンチエイジングの新素材に関しては、「遺伝子組み換えによって作られるバイオ原料であるため、既存の安全性試験だけで、一概に安全であると言い切れない」との不安視する意見もあり、より深い原材料の知識とエビデンスの提示が必要とされています。

今後ますます、原材料を知り尽くしたビジネスパートナーとの強力な連携が必要となってくるのではないでしょうか。