〜香りの進化〜 (2009.08.13)

一説によると、五感の中でも嗅覚による記憶の想起力が一番強いのだそうです。
季節の変わり目に感じる風のにおいに、子供のころの記憶を思い出し、
センチメンタルな気分になった…なんてこと、誰にでもあるのではないでしょうか?
すれ違った人に感じたかすかな香水の香りで、
思い出の中のシーンを思い出すことがあるかもしれません。
香水は、人の記憶に残る大切なアイテムの一つと言えそうです。
人生をも演出するかもしれない、香り。

今回のテーマは「香りの進化」です。

香水の本場フランスでは、男性でも日常的に、まるで歯磨きと同じような感覚で香水をつけるのだそうです。
男性も女性も、香りが自分の魅力をつくる大事な要素だということをとてもよく分かっていて、自分を引き立てる香りを選び抜いて使いこなしています。
香りの文化が生活に根付いているということでしょう。

では日本ではどうなのでしょうか。
昔から、香を焚くという習慣はありましたが、
香水の意味とは少し違うニュアンスに感じられます。
香水は、個性を主張するものととらえることができますが、日本の香は、その空間を演出して、そこにいるみんなが一緒に楽しめるというものです。

背景には、もちろん国民性の違いなどあるのでしょう。
自己主張をするフランスと、強い自己主張をよしとしない日本。

その日本で今、香水はどのように生活に密着しているのか、OL層に行ったアンケートをみながら検証してみたいと思います。

普段の生活の中に香水はどの程度親しまれているのでしょうか?

「平日・休日ともにつける」と日常的に香水を楽しむ人は全体の3割、「たまにつける程度」という人は3割程度と同じ位の割合、「ほとんどつけない」という人は2割弱でした。
男性の9割がシャワーの後に香水をつける、というフランスと比較すると、その差は歴然です。

自分を演出するものとしてとらえることのできる香水ですが、
その使い分けなどはどのようになされているのでしょうか?

会社とオフタイムで香水を使い分けると答えた人はほぼ半分でした。

大きく分けると、会社では爽やかで万人に好まれる香り、オフには自分の好きな香りを楽しんでいる人が多いという回答でした。

好きな香りのキーワードを聞いてみると、香水やボディクリームなど身につける香りでは、「爽やか」「やさしい」「エレガント」と女性らしいキーワードが上位に。
ルームフレグランスなどでは「落ち着き」「爽やか」「穏やか」と、癒しのキーワードが並んでいるのが印象的でした。


好きな香りの種類は、身につける香りでは、女性らしい「ローズ」がトップ。爽やかな「グレープフルーツ」「せっけん」「グリーン系」も人気です。
ルームフレグランスなどの香りでは「ラベンダー」が一番人気でした。

ここにも日本人の価値観がみてとれる気がしました。
爽やかで、やさしく、エレガントであることが日本の女性らしさなのかもしれません。
個性を主張して、官能的であったりすることが必ずしも好まれない文化があるのでしょう。

人気の香水のランキングを見てみると、
ずらりと人気のブランド名があがっていました。

香水の選び方も、日本では香りで選ぶのではなく、目と耳から入ってくる情報で選んでいる人が多いのかもしれません。
雑誌の特集でみたものや、セレブ愛用のものが売れるという傾向がみてとれます。
ランキング1位の「ベビードール」。
女性らしい甘くさわやかな香りで、「幸せな結婚ができる」という商品のコンセプトもヒットの原因なのでしょう。
ここには「おまじない」という要素も入っています。

ランキングをみてみると、「ミラク」、「チャンス」、「エンジェルハート」など、
ネーミングも気になるものばかり。
女性のかわいい期待や夢を、思わず想像してしまいます。
ネーミングのイメージも人気に一役買っていそうな気がします。

こうしてみてみると、まだまだ一過性のブームとして香りを扱っている感が否めない現状ですが、
一方では、自分だけのオリジナルの香水を作る人達も増えているのだとか。

アンケートの中には、香水の種類が多すぎて自分にあった香水がわからないという声もありました。
それならば香りのいい、ボディローションや、パウダーなどからでも「香りを楽しむ」ことはできそうです。
構えず、気軽に生活に取り入れられるような方法の提案が必要なのかもしれません。

香りは、つけ方によっては気分をコントロールしたり
自分を演出したりできるアイテムです。
落ち込んだときに好きな香りで気分を盛り上げるとか、
シーン毎に違う香水をつけ、気分も変えていける自分の演出、など、
ドラマチックな提案をしていけば、消費者にもイメージがしやすくなるのでは、と思いました。

食べてからだの中から香るものや、直接細胞まで浸透し、香りの持続性を高め、つけた本人次第でオリジナルの香りに変わるものまで、
新しいものも登場しています。
これからも香りの進化から目が離せません。