美容液編 (2009.08.15)

化粧品メーカーの実力が問われるアイテムといえば「美容液」。 各社しのぎを削って様々な機能を持たせた商品を開発している。
第二回目はそんな「美容液」について考えていきたい。まずは、美容液の基本的な肌への効果について押さえておこう。


美容液とは?
美白、しわの防止や改善、にきび防止、皮膚賦活など明確な機能を備えている付加価値の高い化粧品。
ある特定の効能・効果に特化した製品の総称である。美容液の名称を持つ化 粧品は古くからあるが、その重要性は年々高まってきている。
その背景として消費者が化粧品に求める機能が年々高くなってきていること、皮膚科学技術の進歩 によって美白やしわ改善に効果のある成分が開発されるようになったこと、そしてそれらの成分を安定して配合する製剤技術が進歩したことがあげられる。
剤型も従来はとろみのある、透明または半透明の液状が主 流であったが、近年は乳液状やクリーム状のものも多くなってきた。
(日本化粧品技術者会 化粧品辞典より抜粋)

主な美容液の種類

・うるおい補給
通常の化粧水に比べ保湿剤の配合量を多くした透明・半透明の液状タイプが多く、増粘剤を配合して適度なとろみをつけたり、ジェル状にし たりする場合が多い。近年では、より高付加価値の保湿成分として、ヒアルロン酸やコラーゲンなどを高配合した保湿美容液もある。

・しわ改善
以前は乾燥による小じわの改善をおもな機能としていたため、潤いの補給が主であったが、近年は自然老化や光老化によるしわの発生メカニズムの解明が進み、角層、表皮、真皮それぞれに対応した成分が配合されるようになってきている。

・美白
美白の有効成分として、ビタミンC誘導体やアルブチン、コウジ酸などを配合したものがある。

・ニキビ用
抗アクネ菌作用のある薬剤の配合が基本となるが、ニキビの発症要因に対応できるように皮脂分泌抑制剤、消炎剤などを併用しているものが多い。

・Tゾーン用
Tゾーンの皮脂によるべたつきや化粧崩れの防止が目的で、薬剤として皮脂分泌抑制剤、収れん剤などを配合して対応する場合もあるが、皮脂吸着効果の高い粉末類などを配合することで物理的な効果を持たせている場合も多い。

・日中用
紫外線による悪影響から肌を保護することが目的で、紫外線防御効果と下地効果を併せ持つものが多い。


美容液市場の動向は?

夏本番に向けて、各メーカーからは美白美容液が多く発売されている。傾向としては、イメージだけでなく確実な理論で美白を可能にする処方開発が商品に反映されていることがある。
メラニン生成の指令に真皮・表皮の内外からの360度アプローチする全方位美白や、メラニンが肌の奥に溜まった状態にある「頑固ジミ」に対するアプロー チ、肌ダメージによる基底膜の落ち込みや老化によって濃くなるシミをターゲットにした新しい理論、炎症性のメラニン信号に着目した商品など、最先端テクノ ロジーが凝縮された製品が目白押しだ。「美白ものは、気やすめだ」という時代はもう終わったと感じる。
また、シミのできた箇所だけへのピンポイントの美白アプローチだけではなく、角質ケアにより透明感を高め、肌の血行不良によるクスミを予防することで顔全 体を透明感のある美しい肌へと導くというような「底上げ美白」の考え方が出てきているのも大きな特徴である。


今後の注目成分「ペプチド」

女性達が美容液の効果として、美白に次いで求めているのが「シワ・たるみ」である。
「シワ・たるみ」に効果のある成分としてよく配合されるのが「ペプチド」。 「ペプチド」とはたんぱく質がアミノ酸まで分解される際の中間体で、アミノ酸が100個以下のものを指し、アミノ酸が10個以下のものを「オリゴペプチ ド」という。
よく耳にするコラーゲンやエラスチンなどに代表される天然の動植物由来のタンパク質も、ペプチドの定義にあてはまる。
天然のタンパク質は巨大分子で水に溶けにくいものが多く、熱やpHにより変性を受けやすい為、酸アルカリ加水分解や発酵により、性質の安定した低分子量の 加水分解タンパク質といったペプチドの形で利用されてきた。
現在では、さらに機能性を追及するために酵素による加水分解法や特殊な発酵法を用いて選択的にペプチドを取り出す方法が多用されているようだ。 21世紀にはいり、ペプチドの化学合成技術やバイオ技術の成熟により開発者の思うとおりのアミノ酸配列をもったペプチドが作られ、種類が増え始めている。
「機能性ペプチド」と呼ばれ、皮膚への作用をピンポイントで狙った開発をしている為、これまでの加水分解タンパク質エキスと比べ、安全性や効能効果を得易 いのが特徴である。「シワ・たるみ」への効果だけでないおもしろい「機能性ペプチド」をいくつかご紹介しよう。

・スリミングペプチド“UCPペプチド(デカペプチド−2)”
細胞のエネルギーを熱へ変換し、細胞への脂肪の蓄積を阻害するペプチド。

・バストアップペプチド“バイオバスチル(パルミトイルオリゴペプチド)”
脂肪細胞にアプローチし、脂肪の蓄積を促進。

・育毛ペプチド“プロキャピル(ビオチノイルトリペプチド−1) ”
 “プロヘアーリン(オクタペプチド−2)”

育毛効果と頭皮の賦活効果をもつ。


美容液開発のポイント

美容液は、消費者がしっかりとした機能を求める期待値の高いアイテムといえる。
通常使っているスキンケアにプラスワンとして買い足すことが多く、悩みに直結したアプローチが可能なアイテムともいえる。
粘度がクリームほどこってりとしていない使い易い使用感から、朝も夜も使われることが多い。実感としての肌の変化に期待が高まるのもうなずける。
美容液のボトルは、小型で機能性やデザイン性の高いものが多く、展開していく中でも花形の商品となりうるアイテムである。
会社の姿勢やブランドのコンセプトを明確にし、しっかりとイメージを商品に落としこめるかが重要になってくる。

虎の巻格言:「美容液は肌の栄養ドリンク。即効性が必須!」


参考図書:コスメチックQ&A 日本化粧品工業連合会編
美容最前線 ビューティトレンド 霜川忠正著
フレグランスジャーナル 2008年3月号