1.なぜシニア市場が狙い目なのか
近年、マーケティング的には「Z世代」に注目が集まりがちですが、下記の通り“すでに日本の人口のボリュームゾーンは圧倒的に若者ではない”という事実をご存じでしょうか。将来的な「少子超高齢化」の人口比率を考えると、シニア層は美容業界においても消費のボリュームゾーンとして無視することのできない市場だと言えます。
衝撃的な社会的背景 ~シニア人口の現状~
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/)
- 日本は、今年(2024年)歴史上初めて50歳以上の人口が5割を超える
- 女性に限定すると、2020年にすでに人口の半数以上が50歳以上を超えている
- 団塊ジュニア世代[1971~1974(昭和46~49)年]が、ついに2024年にすべて50代へ突入
- 団塊世代[1947~1949(昭和22~24)年]が75歳以上となり、2025年には人口の4分の1が後期高齢者※1へ
※1「前期高齢者」は65歳以上75歳未満、「後期高齢者」は75歳以上のこと。
2.近年のシニア女性傾向
定年延長や年金受給開始年齢の引き上げといった社会情勢からわかるように、現代の60代は昔に比べまだまだ若く、現役で活躍する方も多くいらっしゃいます。中には“孫育て”などワーキングマザーをサポートする戦力として力を発揮している方も。しかし、いつまでも現役を引退できない状況でもあるため「ほどほど感」「あまり気負わない」というマインド傾向もあるようです。今後も頑張りすぎず、体への負担を軽減しながら時間を効率的に使い、社会と関わっていくシニアは増えていくと予想されます。
また、スマホの保有率が9割を超えるデータもあるなど、シニア世代のデジタルユーザーは増加しています。Instagramを見たり、“推し活”を楽しむという最近ならではの傾向も見られますが、カタログ通販やテレビ通販がいまだに高い売り上げを維持している現状を踏まえると、まだ完璧に使いこなしているシニアが多いわけではないように見受けられます。今後は、ネットやSNSを使いこなす家族による代理購入にもビジネスチャンスがありそうです。
さらに、令和シニアは「若々しい嗜好・心」と「老化する体」のギャップがあるのも特徴で、そこにどうアプローチしていくのかがキーになります。ただ、未婚・既婚など含め、背景や価値観は人それぞれ異なるため、ターゲット選定の際は「シニア」としてひとくくりに考えすぎないことも大切です。
3.市場考察によるシニア女性向けコスメの開発ポイント
①あからさまな「シニア扱い」はNG
シニアといっても思考や価値観は、若い時からそこまで変わらず、「年齢に合わせたものが欲しい気持ち」と「若々しい嗜好・心」が共存している方が多いため、訴求内容やイメージ画像に明らかな「シニア感」があると敬遠されがちなので注意が必要です。
②シニア向けの訴求ポイント・カテゴリー
■意外にも欠かせない「くすみケア」
市場の商品を観察してみると、加齢による肌悩みで定番の「シミ・シワ・たるみ」への訴求が目立つ一方で、エイジングケアブランドの多くがスキンケアやメイクともに「くすみケア(トーンアップなど)」を訴求していました。近年のトーンアップベース人気を見ても潜在顧客が多いことがうかがえるだけでなく、加齢による黄ぐすみ・乾燥・ハリ低下・紫外線など様々な要因で肌がくすみがちであるということが消費者に周知されてきたように感じます。一見目立ちにくく見える肌悩みかもしれませんが、シニアコスメとして「くすみ」に着目した商品の需要はこれからも伸びていくのではないでしょうか。
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■老化肌ケアの基本「油分補給」
年齢を重ねるごとに肌の皮脂分泌量は低下してこわばりがちです。それを補う油分補給は肌をやわらげるエモリエント作用もあるのでとても大切です。濃厚な保湿クリームだけでなく、シンプルに美容オイルの人気が高いのも、シニアならではの皮膚生理が関係していると考えられます。
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『「57歳(60歳前後)を分岐点に、年齢とともに乾燥による肌悩みが増えた」と回答した方は7割以上(75%)』というデータがあります。※2
※2 引用元:【シニアの肌悩みとスキンケアの実態調査】7割以上が60歳前後を境に乾燥による肌悩みを強く意識、半数が現状のケアに不満を抱える実態が明らかに(花王株式会社 2022年10月24日)
■忘れてはいけない「美髪・育毛ケア」
表立っては言えなくても需要の高い髪のお悩みケアは、店舗では買いにくい側面があるため通販向きの商材と言えます。また、育毛剤に限らず、シャンプーやオイルなど他のヘアケア商品による髪のボリューム感・ツヤ感UPアプローチなどもおすすめです。
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■人生100年時代を生きる上で大切な「多幸感」
シニアのおよそ2人に1人は「推し」がいるとも言われている近年、長い人生を生きるには、いかに「楽しむ」かがポイントとなりそうです。これからのシニア向け化粧品も機能性だけにとどまらず、マッサージなどの使用方法やファンコミュニティ運営などをはじめとした、何かしらの「ワクワク感」の提供も大切かもしれません。
③使いやすさ・わかりやすさへの配慮
気持ちは若くても、逆らえない老化現象があるのは事実のため、容器形状、使用方法、アイテム数、文字の大きさなど、商品の使いやすさへの配慮は最低限大切だと感じます。
4.まとめ
前述のとおり、日本の現在と未来は、シニア層を抜きにして経済活動は成り立ちません。シニアマーケティングで大切なのは「シニア」に対する思いこみを捨て、ありのままの姿をとらえようとする姿勢ではないかと考えます。シニアを一括りにした旧来のマーケティング手法では、競争を勝ち抜くのは難しいかもしれません。寿命が延び、比例してシニア期間も長くなるため「ほどほど感」「あまり気負わない」というマインド傾向にあるのも、うなずけます。
“無理した若見え”よりも“それとない幸せ感”をどう演出できるか、がカギになっていくのではないかと思います。
また、新規参入の課題として、シニア層と企業のタッチポイント(接点)がZ世代に比べ少なく、多様化している点が挙げられます。トレンドだからとSNSマーケティングを活用するだけでは、届けたいシニア層に届かない可能性も考えられます。自社製品のPR方法についても、ターゲットとなるシニア像を明確にした販促活動が大切となりそうです。
(執筆者:恩田雅代)
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そこでキャッチした話題やホットなテーマについて、外部のコスメティックプランナー恩田雅世さんと定期的にトーク&ディスカッションする時間を設けています。“OEM企業ならではの視点”で深掘りしたり、ブームの背景を探り商品やトレンドを分析、さらには、少し先の未来を予測してみたり…!4名の座談会を元に記事化しています。
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y | ホシケミカルズ販促M |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
販促担当としてメルマガや動画の撮影& 前職での複数のソーシャルメディア運営実績を活かし、 |