1.メンズコスメ市場規模の推移
2017年頃から市場的に注目されてきた男性用化粧品ですが、コロナ禍においてもブランド数は増加し続けており、市場規模は堅調に推移しています。特に“メンズメイク”に関しては、オンライン会議の普及が後押しした、とも言われており、コロナ禍はメンズコスメ市場にとって追い風となったといえるのかもしれません。市場規模は2021年には1,550億円まで成長しており※1、2013年(確認できた範囲の古いデータ)比※2で約146%と伸びている市場であることがわかります。
※1 ヘアケア・ヘアメイクとメンズコスメティックス 国内化粧品市場を調査−2013年市場−(富士経済)
※2 ヘアケア・ヘアメイク商品、メンズコスメティックスの国内市場を調査−2022年市場−(富士経済)
2.男性のコスメアイテム浸透度
スキンケアアイテムでは洗顔料、化粧水、乳液・クリームが人気になっており (2022年)、男性ユーザーにもスキンケアの基本がかなり浸透した印象をうけました。
メイク品は、下地、コンシーラー、ファンデーションがよく購入されているようです。
そして、全体的にほとんど全てのアイテムで購入率が増加傾向にあり、メンズコスメへの意識の高まりを感じます。現段階では、スキンケアの方が購入割合としては多いようですが、メイクはまだまだ伸びる余地があるため、今後の動きに注目です。
3.メンズブランド最新動向
ブランドで見てみると、従来からなじみのある男性向けのいわゆる “For Men”ブランドと、Z世代やジェンダーレス配慮を意識した“次世代メンズコスメ”に大きく分けられる印象です。
デザイン的には“For Men”は白黒を基調としたシックなデザインで、“次世代メンズコスメ”はカラフルでスタイリッシュなものが多くみられました。
また、大手メーカーを中心に、スキンケアからメイク・ヘアケアまで豊富なラインナップを揃えているところもありますが、その分、商品を選択しやくするツールも合わせて提供するなど、コミュニケーションにも注意を払っているのは特筆すべき点だと思います。ショート動画によるHow To、なりたい顔やイメージからアイテムをおすすめするコンテンツなどの一方で、新興ブランド中心に、シンプルなラインナップに絞り、選びやすさや使いやすさを重視したブランドも多数ありました。今後、新しくメンズブランドを立ち上げる場合は、販促も集中しやすいため、こちらのスタイルのほうがおすすめかもしれません。
そして、メンズコスメブランドは増えてきましたが、一部の美容マニアを除く、一般ユーザーの美容知識・経験などはまだまだ発展途上のため、商品開発の際は“わかりやすさ”も大切にしたほうがいいのではと感じます。
4.メンズコスメ開発ならではの注目ポイント
テクスチャー
肌質を考慮すると、男性の肌は女性よりも皮脂分泌が多いため、やはり基本的にはベタつかない使用感が好まれやすい傾向にあります。ジェルよりも軽く仕上げやすい“オールインワン美容液”を発売しているメーカーもあり、注目しています。
容器
1回の使用量が明確にわかりやすいポンプタイプなどの容器が人気のようです。(中身によってはポンプが使えないものもあります)
容量
通販などの場合はテスターがないので、1か月分程度の小さめの容量設定にするのもおすすめです。別途トライアルセットを作るとなると、小さいながら意外と製造コストがかかるという懸念点に加えて、買い替えのタイミングがわかりやすいというメリットもあります。
スキンケアアイテム
注目のアイテムは泡立てる手間がないジェルタイプ洗顔料です。簡便さと時短に繋がるため、認知がこれからもっと広がっていけば、泡立てるのが苦手な男性でハマる人が増えていくのではないかと予想しています。
メイクアイテム
メンズメイクの初心者向けアイテムは、下地やコンシーラー、ファンデーションなどのベースメイクからがチャレンジしやすいと考えられます。フィニッシュパウダーなども、お手軽に使いやすいにも関わらず意外とまだ競合が少ないので狙い目かもしれません。
ミドル層以上は健康的な小麦肌が多く、最近の若者は女性なみの明るい肌も多い傾向が見受けられるというのも意外と見落としがちな注目ポイントです。
ターゲット
始めは自社が強みをもつ年齢層にターゲットを設定するのがおすすめです。例えば、女性向け化粧品ですでに販路をお持ちの場合は、その旦那様やパートナーへの既存女性客による代理購入も狙いどころです。
上記を含め、方向性やコンセプト設計からホシケミカルズへご相談いただくことも可能です。
美容になじみが薄いミドル・シニア層と、若い頃からコスメに親しんでいる若年層では、実際の肌状態や求めるものが異なる可能性があるので、使用感やメイクの色展開などの際はそのあたりの考慮も必要です。
5.ホシケミカルズのおすすめOEM/ODM開発品
ホシケミカルズでも、満を持して男性向け化粧品開発におすすめの『メンズコスメシリーズ』の紹介を開始しました。
“ジェンダーレス”を意識した若年層はもちろん、ミドル・シニア層にもアプローチできるラインナップが揃っておりお好みで使用感の改良も可能です。(一部アイテム除く)
スキンケアだけでなく、メイクアイテムも合わせて開発できるのもありがたいです。
将来的なアップセルやクロスセルも視野に入れやすく、長期的な視点でのマーケティング戦略が立てやすいですよね。そして、まだ競合の少ない“メンズ向けクッションファンデーション”も開発ができるというのも魅力的です。
6.まとめ
メンズコスメの商品開発で大切なのは、メンズならではの悩みに丁寧に向き合うこと。
例えば、皮脂が多く、べたつきやすい肌でも使いやすいテクスチャーや、ニキビ悩みに応える処方などです。メイクアップにおいては、髭剃り後の青みを目立たなくする下地やコンシーラーなどのアイテムに加え、色の選択もターゲットとする年齢に合わせた好みを考慮しながら選択していくことが大切です。
また、男性ユーザーが化粧品の使い方や使用量で悩むことのないように、わかりやすい商品設計、使用ステップ、使用方法をきちんと整理しながら、コンセプトとあわせて開発を進めていけると素敵ですね。
「悩みに向き合い、悩ませない。」がポイントです。
(執筆者:恩田雅世)
そこでキャッチした話題やホットなテーマについて、外部のコスメティックプランナー恩田雅世さんと定期的にトーク&ディスカッションする時間を設けています。“OEM企業ならではの視点”で深掘りしたり、ブームの背景を探り商品やトレンドを分析、さらには、少し先の未来を予測してみたり…!4名の座談会を元に記事化しています。
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y | ホシケミカルズ販促M |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
販促担当としてメルマガや動画の撮影& 前職での複数のソーシャルメディア運営実績を活かし、 |