1.近年注目のデリケートゾーンケアコスメ
フェムケアの認知拡大とともに(参考記事:美容業界の“フェムケア”最新市場動向)、化粧品業界においても、いわゆる女性のVIO部位をターゲットとしたデリケートゾーンケア用の化粧品が市場で存在感を示し始めています。
元々デリケートゾーンの肌には顔や体の他の部位とは異なる特性があることに加え、従来は口に出しにくかった女性ならではの悩みについてオープンに話しやすくなった時代の変化も後押ししてか、多くの調査で女性がデリケートゾーンに何かしらの悩みを感じていることも明らかになってきており、今後も市場の盛り上がりが期待されます。
「デリケートゾーン」という表現は世界共通ではなく、海外では「インティメイトケア」などと表現されています。
2.デリケートゾーンのよくある肌悩み
デリケートゾーンは下着・生理用品の着用による「ムレ」に加えて、汗・尿・生理時の経血・おりものなどの汚れも付着しやすいため、「臭い」や「かゆみ」が起こりやすい部位と言えます。また、他の部位に比べて皮膚が薄いため摩擦などでも傷つきやすく、肌荒れ・炎症に加えて「黒ずみ」・「くすみ」などの悩みが多いのも特徴です。
さらに、年齢を重ねた肌では、更年期世代を中心に「乾燥」や「ハリの低下」という悩みも聞こえてきます。
3.デリケートゾーン用コスメに求められること
デリケートゾーンの皮膚は薄く繊細なため、摩擦を避けてやさしくケアすることがとても大切です。さらに、薬剤の経皮吸収率が腕の約42倍と非常に高く影響が大きいため、使用する成分にも細心の配慮が求められます。
また、ヒトの健康な皮膚表面のpHは4.5〜6.5程度の弱酸性の範囲にあると言われていることに加え、性成熟期の膣内は乳酸菌(ラクトバチルス属)の働きで通常pH3.8~4.5に保つことで病原体の侵入や増殖を防いでいるため、膣口付近に使用する化粧品は弱酸性である方が肌に負担が少ないと考えられます。
パッチテストなどの安全性試験を行うことも、客観的な判断材料として重要な選択肢のひとつです。
参考:病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版(医療情報科学研究所) ほか
4.市場状況とマーケティング戦略
フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)の市場規模は2020年頃から拡大傾向にあり、この1年間でも、大手や中堅で名が知られている化粧品メーカーからデリケートゾーンケアコスメの発売が続いており、化粧品業界の注目度の高さがうかがえます。
化粧品アイテムとしては「洗浄料」が最も多く、次いでクリーム・オイルなどの「保湿アイテム」や、「ミスト」などのリフレッシュアイテムもラインナップとしてよく見受けられました。
「洗浄料」はムレ・臭い・かゆみの一因となる汚れを落として“全世代共通の悩みに対応”できることから需要が高く、特に摩擦レスや洗浄成分量低減の観点からか、“泡で出る”ポンプフォーマータイプの人気が高いようです。
「保湿アイテム」は、脱毛や加齢などで乾燥が気になる方に需要が高いと考えられます。デリケートゾーンに吹きかけたり、ふき取ったりして使用する「ミスト」のラインナップは前述の2品に比べると少なめな印象ですが、“ムレ”などに対してはふき取ることで即効的なリフレッシュ作用が得られるため、今後デリケートゾーンケアアイテムとしての拡大が期待されます。
また、近年の市場拡大により多くの会社が何かしらの安全性テストを実施しているなど意識の高まりも感じますが、一方でまだ発展途上の分野でもあるため、デリケートゾーンケアに関する消費者の知識不足や化粧品の範疇を超えた過激な表現や訴求をしている商品の存在も懸念されています。
そのような背景もあり、消費者へのマーケティング戦略の一環として、ただ単に商品を売るだけではなく、大手企業を中心に特設サイトなどでデリケートゾーンケアに関する基礎知識やお役立ち情報を発信するような仕掛けにも力を入れて取り組んでいる傾向が印象的でした。
まだ悩みを自覚していない人や悩みはあるけどどうしたらいいかわからないという人に、“いかにわかりやすく商品を使うメリットを伝えられるか”がデリケートゾーンケアコスメのマーケティングにおいて大きなポイントになりそうです。
5.ホシケミカルズのデリケートゾーンケアODM提案品
前述のように注目度は高いものの、実は「デリケートゾーン」の定義は曖昧でメーカーやアイテムによっても異なっているのが実状です。そこで、肌へのやさしさと効果性を軸に研究を重ねてきた当社では、創業50年の知見を活かした独自の開発基準を設け、女性を取り巻くトラブルへアプローチして健やかで快適な毎日をサポートする「フェムケアシリーズ」のODM提案品を開発しました。
ホシケミカルズのフェムケアシリーズODM品の主な開発ポイント
✔『 VIO部位 (恥丘~肛門周り [膣内部は除く] ) 』をデリケートゾーンとして定義
✔デリケートゾーンの皮膚生理に配慮した成分構成と弱酸性のpH設計による低刺激処方
✔全アイテムのベース処方でパッチテストを実施 (すべての方に刺激が起こらないということではありません)
※化粧品が使用できるのは赤点線の枠外のみです。アイテムによっては黒点線の枠外となります。(膣内部は含みません)
すぐにご提案可能な現在のアイテムラインナップ(記事公開時点)
【デオドラント ライン(医薬部外品申請準備中)】
抗菌成分“イソプロピルメチルフェノール”を配合し、ムレや臭いなどデリケートな悩みの原因に働きかけるデオドラントラインです。抗炎症成分“グリチルリチン酸ジカリウム”も配合し、肌をいたわりながら清潔な状態へと整えます。
①デオドラント フォームウォッシュ
(泡立て不要のポンプフォーマー型洗浄料)
②デオドラント クリアミスト
(ふき取り使用でムレ・臭いの原因を除去できるミストスプレー)
【センシティブ ライン(医薬部外品申請準備中)】
特に敏感な肌のために、できる限り刺激を低減するよう成分や処方、テクスチャにこだわったセンシティブラインです。ひりつきなどの刺激や違和感を抑制する抗炎症成分“グリチルリチン酸ジカリウム”などを効果的に組み合わせ、デリケートな部位を健やかに保ちます。
①センシティブ ジェルウォッシュ
(泡立たないタイプのジェル状洗浄料)
②センシティブ リフレッシュミスト
(ムレや乾燥などの不快感を即座にケアするミストスプレー)
アイテムに関する詳細は、弊社担当営業、またはこちらよりお気軽にお問い合わせください。
ちなみに“膣内部”に直接使用する「膣洗浄器」は、化粧品ではなく“医療機器”となるためご注意ください。
(弊社では取り扱いをしておりません)
6.まとめ
女性のデリケートゾーンケアコスメは、以前は目立ちにくい場所で過激な表現をして売られている商品も見受けられましたが、近年のフェムケア意識の高まりにより市場がオープンに健全化しつつあると感じます。SNSや行政の監視強化などによって良いことも悪いことも広まりやすい世の中において、まだ成熟していないデリケートゾーンという分野だからこそ、これからは正しい情報の提供と信頼のおける商品開発が大切になっていくのかもしれません。
ホシケミカルズにおいても、多くの方が使いやすく・売りやすいような製品提案をしていけたらと考えています。
ホシケミカルズの「化粧品OEM」について詳しく知りたい方はこちら